注目記事
全国通訳案内士とは?なるには?仕事内容は?【現役通訳ガイドのブログ】

全国通訳案内士になるには、国が実施する全国通訳案内士試験に合格し、住居地の都道府県知事に届け出ます。そうすると晴れて外国人向に有償で観光ガイドのお仕事をすることが出来るようになります。

全国通訳案内士の資格は10言語あります。英、西、仏、独、伊、葡、露、中、韓、泰です。

通訳案内士って聞いたことあるけど、どんな仕事してるかわからないしどうやってなればいいかわからない。

外国人向けの観光ガイドって面白そうだけど、通訳案内士なんて聞いたこともない。

2008年に通訳案内士試験に合格し、現役でガイドをしている筆者が全国通訳案内士のリアルな情報をお伝えします。

この記事を読めば全国通訳案内士資格の概要や、お仕事の内容がバッチリわかります。

全国通訳案内士の仕事内容

仕事内容は多岐にわたりますが、基本は外国人観光客向けのガイドです。

成田空港や、お泊りのホテルにお客様をお迎えに行って、それから観光案内をします。

ホテルや空港送迎だけのお仕事もありますし、新人のうちはそういう依頼のが多いでしょう。

お客様のタイプも個人客や、家族単位、バス一杯の団体客まで色々です。

ツアーの長さも半日から数週間に及ぶものまで様々です。

その全期間をご一緒したり、一部分だけを担当したり色々なパターンがあります。

また完全プライベートなお客様だけではなく、お仕事の合間に会社がアレンジしたツアーなどもあります。

観光がメインではなく企業や自治体の視察がメインのものもあります。

そういう時は視察では通訳をし、合間に観光ガイドをするなどのパターンもあります。

また同じ通訳案内士同士でもどこからお仕事を頂いているかによって若干仕事や経験内容が異なります。

例えば旅行会社Aと旅行会社Bでは違うツアーを販売しています。

A社は日帰りツアー専門の会社でこの会社のツアーしかしていないガイドAは全国には行きませんが特定の場所にはほぼ毎日行くのでどのガイドよりも詳しいです。

B社は変わったタイプの旅行会社でビジネス関係のツアーが多いです。主に関西にお客様をお連れし、商談通訳をすることもあります。

B社のツアーばかりしているガイドBは関西方面の観光や商談通訳には強くなりますが、他の地域のガイド経験はなかなか積めません。

そしてA社B社と他にも色々な会社のやっているガイドCは幅広い知識を身に付けますがA社とB社のツアーに特段詳しいわけではない。

このような感じです。

全国通訳案内士になるには試験に合格する必要がある

全国通訳案内士になるには観光庁が実施する試験に合格する必要があります。

試験が行われるのはは年一回だけです。8月に一次試験、12月に2次試験があります。

一次試験は筆記試験で

日本史、日本地理、一般常識、語学

二次試験は面接で

プレゼンテーションや質疑応答など

外国人観光客役になっている面接官に色々とご案内をします

これに合格するには相当覚悟を決めて勉強しなければなりませんので、合格者は当然レベルの高い知識を有しています。

通訳ガイド 通訳案内士 全国通訳案内士の違いは?

通訳案内士には色々な呼び方があります。

これは通訳案内士に関する法律がたびたび変わるからです。

元々は通訳案内業という免許で「通訳ガイド」という通称で通っていました。

その後

2006年の法改正で通訳案内士という名称に変わり登録制になりました。

さらに

2017年の法改正で全国通訳案内士という名称になりました。

このように時代によって呼び方が変わりますが、同じ資格だと思ってください。

ガイド自身も自分が資格を取得した時点の呼称を使うことも多いので、ベテランガイドさんは「通訳ガイド」や「通訳案内士」という人が多いです。

全国通訳案内士と地域通訳案内士の違いは?

では全国通訳案内士と地域限定通訳案内士の違いは何でしょうか?

通訳案内士の時代には県や市などの地方自治体が通訳案内士不足を補うために独自に研修や試験を実施してその地域だけで稼働できる「地域限定通訳案内士」や「地域特例通訳案内士」という資格を発行していました。

しかしそれも2019年の法改正に伴い「地域通訳案内士」という資格に統一されました。

それに伴って全国で稼働できる通訳案内士は「全国通訳案内士」という名称に変更されました。

ややこしいですね!

全国通訳案内士試験の難易度は?

全国通訳案内士試験は合格率10%以下の難関試験です。

一時期オリンピックに向けてガイド数を増やそうとした時期もありましたが、現在はまた合格率は下がっています。

どれだけの学習時間が必要かは「スタート時のレベル次第」というところです。

語学力に自信の無い人が語学力から磨こうとすると、5年~10年かかることもあります。

しかし、すでに語学力がある人が勉強すれば1年で合格することも可能です。

しかしネイティブや帰国子女の人は、日本史や日本地理などで苦戦するため、語学だけできても合格できるわけではありません。

通訳案内士団体と新人研修

試験に合格したからといってすぐに現場に出るのは危険です。

[maker]旅行業界には独特のルールが沢山あります[/marker]。

以前添乗員として働いていた方でしたら、そのあたりのルールはご存じなので、いきなりガイドデビューしても何とかこなせるかもしれません。しかし慣れた添乗員の方でもマルチタスクをこなすのは結構大変です。

よく言われるのは通訳案内士は

ガイド

添乗員

通訳

の三役を一人でこなす仕事です。

添乗員さんは基本お客様と一緒に行動をしてスケジュール管理や、サービスの提供が滞りなく行われるのを調整する役割を果たします。でも現地に着けば、現地の係員や現地ガイドの方達が観光地の説明などをしてくれますので一息つけます。

バスガイドさんであれば、バスの中で御案内をしますが、現地に着いたら休憩できます。

通訳ガイドの場合は現地にバスの中や現地に着いてからの案内もすべて一人でやります。

結構ハードなお仕事です。

報酬にもちゃんと反映していますよ。

ガイド業界にはOJTという制度がありません。資格をとって稼働し始めたらもうその日からプロとして見られますです。誰かが手取り足取り仕事を教えてくれるわけではありません。

そういった勉強も自分の経費でやっていきます。

通訳案内士の各団体では合格発表のあと新人研修会をやっていますので、そいうったものに参加して勉強しつつ、横のつながりや縦のつながりを作っておきましょう。

ということでちゃんと観光ガイドとして生活していきたいのであれば、全国通訳案内士の資格は必須となります。

簡単にガイドになった人には簡単な仕事しかまわって来ません。

2018年1月の通訳案内士法改正

2018年に法改正があり、それまで独占業務とされてきた通訳案内業務(外国人に対し、外国語で有料で観光案内をすること)が自由化されました。

これにより誰でも外国人相手のガイドが出来るようになりました。

ただし名称独占というのが残っていますので”通訳ガイド””認定ガイド””スペシャルガイド”などという、高品質を誤認させるような名称は全国通訳案内士以外が使ってはいけません。

自由化後の現状は

自由後の現状ですが、確かに無資格ガイドは増えてきています。しかしながら、無資格ガイドの人達を雇おうという旅行会社は限られています。雇ってくれてもアルバイト並みの時給であることが多いです。もしくは外国人をガイドとしてツアーに添乗させている格安ツアーなども出てきました。

皆さんが海外からの大事なお客様を案内するガイドが必要になったとき、どちらのガイドを雇いますか?

無資格で知識や経験も浅いガイドと有資格で勉強もきちんとしていて経験も豊富なガイド。やはり有資格者ではないでしょうか?

よほど予算が厳しければ、無資格ガイドを雇うのも選択肢ではありますが、何か失礼があった時には言い訳もできませんね。

外国から添乗員としてグループを引率してきてそのままガイドをするということも増えてきていると思いますが、これに関しては通訳案内士法だけではなく入管法の問題もあります。

通常添乗員は観光ビザで入国しますので、そのまま就労ビザが無い状態で仕事をしているわけですから。日本はこの辺りの取り締まりは今のところ厳しくありませんので見逃されています。

実際全国通訳案内士は稼げるのか?

少なくとも私の周りにはガイドとして稼働している方々が数百名います。

どれだけの生活レベルを求めるのかにもよりますが、生活できている人たちも数多くいます。

しかしフリーランスの仕事ですので必ずだれもが成功するわけではありません。

当然厳しい競争もありますし、なかなか空きスポットはありません。

ここにあげるのは日当の一例です。

ガイド日当例

半日(4時間)8000~15000円程度

一日(8時間)20000円~40000円程度

※日当はガイドの経験や担当するお客様の属性にもよります。

ガイドの経験は日当に影響します。

それぞれのツアーで予算がありますので、値上げ交渉はしずらいのですが、経験のあるガイドは幾つかのオファーの中から仕事を選べますので、条件の良いところに行きます。

また学生ツアーや富裕層のツアーでは当然日当やガイドが果たすべき役割も変わってきます。

稼働にっすにかんしては、売れっ子ガイドでも年の半分も稼働すれば十分かともいます。

閑散期と繁忙時がありますし、繁忙期にいくら依頼がたくさん来ても一度に一つしか受けられません。

長いツアーは14日にもなりますから、お休みも適度に必要です。

勉強したり、打合せ、精算する日も必要です。

こんな感じで掛け合わせてみれば大体の年収の相場は分かると思います。

通訳ガイドを長く続けていくには

やはりバランスを取ることだと思います。

これはどの業界で起業しても同じだと思いますが、収入源が一つしかないと安定しません。

観光業は平和産業と言われていますので世界が平和な時は皆さん旅をしますが、なにか大きなことが起こると観光は後回しになります。2020年2021年を見ていただければわかると思います。

私も東日本大震災、極端な円高、アイスランドの火山噴火そしてコロナウイルスと色々なことを経験してきました。

新人の頃は大手の旅行会社さん一社から95%ぐらいのお仕事を頂いていましたが、今は仕事を頂く旅行会社も分散していますし、ガイド業以外にも仕事をするようにしています。

よく

ガイド専業で稼働していない=ガイドは生活できない仕事

と思われるのですが、そういうわけではありません。

そもそも私たちは個人事業主ですので、何かお仕事のチャンスがあれば何でも積極的にやってみるという人が多いです。

副業禁止規定があるわけでもありませんので、色々な事業を始めたりする方もいます。通訳や翻訳、海外添乗、英語やいけばな、剣道の講師、貿易会社や様々な活動をされている方が多いのです。

そして年の半分も旅をしていると結構大変ですのでたまには違うことをしたいというのもあります。

全国通訳案内士のやりがい

色々なガイドさんがいますが、みんさん口を揃えていうのが、この仕事が好きだということです。

コロナ禍のような大変なこともありますし、一時的に他のお仕事をしている仲間も数多くいます。

しかし、みなさんやはりこの仕事が好きで、必ず戻って来たいと思っています。

それだけ海外の方を笑顔でお迎えして、自分の国をご案内するというお仕事に誇りを持っています。

また私たちほど桜を堪能できる日本人も少ないのではないでしょうか?

桜の咲く時期には日本全国の桜の名所を巡ります。

こんなお仕事中々ありませんよね。(添乗員さん以外では)

スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
おすすめの記事