最近や業務委託形式をとるアルバイトが増えているように思います。契約の形式から被雇用者ではないのでフリーランスになりますが、安易に業務委託で働くことには注意しましょう。
執筆やデザインなど明らかに目に見える成果物を納品する業界では業務委託で受注するのは普通でありわかりやすいと思います。ところが労働力を提供しているだけのアルバイトの仕事で契約が労働契約ではなく業務委託契約だったりすることもあります。
業務委託で働くということは、フリーランスとして、自分のことは自分で面倒を見るということです。会社員やアルバイトであれば通常は労働契約の元、会社に守られながら働きます。
同じような仕事であれば業務委託契約の報酬が給料や自由より高いことが多いので魅力的に見えます。エンジニアの方の正社員を辞めて、業務委託契約で独立してフリーランスになることもあると思います。ですが契約を切り替える前に会社が負担してくれる社会保険、保護してくれる法律のことも考えておきましょう。
アルバイトを始める時特に貰った契約書にそのままサインして、気づいたら業務委託契約だったということもあると思います。短時間の勤務であればいいのですが、結構な時間その仕事に費やすのであれば社会保険や有休などのメリットも考慮したほうがいいでしょう。
業務委託の場合会社には雇用者としての責任がありませんので、その分の経費を時給に上乗せして報酬を良くみせることができます。業務委託契約は一見お給料が良く見えますが自分が負担する経費のことも考えて、自分にとって有利な契約かどうか総合的にみてください。
アルバイト
法律的にはアルバイトも正社員も被雇用者という扱いで雇用契約のもとで働くことになりますので、法律に守られます。短時間であれば社会保険も付きませんが、少なくとも労災には加入できますし、何か業務上の事故などに巻き込まれた場合も補償されます。また事故や病気により休養を取らなければいけない場合も会社や労災から治療費や休業手当などの支給があります。
また週ごとや月ごとの勤務時間が少なければ、健康保険や年金などの社会保険加入の条件を満たせませんが、勤務日数が多くなれば社会保険にも加入できます。
社会保険料なんて払いたくないと思う方もいるかもしれません。アルバイトでご家族の扶養に入っていれば、そこで社会権はカバーされるでしょうしあまり重要ではないかもしれません。しかし個人事業主として仕事をしていくのであれば、社会保険は全額自己負担になりますので労働契約で社会保険料を会社が半分負担してくれるというのは非常に大きなメリットのひとつです。
基本的には労働者というのは管理者のもと時間管理をされ、指示を受けて業務を遂行します。アルバイトとはえ急に解雇をすることはできませんし、時間外労働、休日労働、深夜労働などには手当を払わなければいけません。また最低賃金法にしばられますので不当に安い賃金で雇うこともできません。
このようにアルバイト(被雇用者)は色々な面で法律に守られています(それでも法律を無視するブラック企業はここでは別問題としておきましょう)
フリーランス(業務委託契約)
一方、業務委託契約は業務を外注するという契約です。
本来は業務の依頼内容によって自由に契約を結び、依頼内容の納品によって業務を遂行することになります。
その依頼主は業務の遂行方法に関して具体的に指示を出したり時間管理をすることもありません。また納品さえきちんとされれば基本的に業務の再委託を禁止することもありません。
そのため比較的自由に自分の裁量で業務を遂行できるというメリットがあります。そこに魅力を感じて業務委託を選ぶ方も多いと思います。
また注意すべき点としては、あなたはその業務を請け負う個人事業主という扱いですので健康保険や年金などの社会保険も全額自分で支払うことになりますし、労災の加入対象にもなりません。
業務上で事故にあったとしても会社にあなたの生活を補償する義務もないのです。また年末調整も会社は行いませんので毎年の確定申告も必要になります。
こちらは実際にあった私の友人Aさんが巻き込まれたトラブルの例です。
Aさんフリーランスで業務委託の仕事をしていて、会社から預かった貴重品が盗難にあってしまいました。当初会社の担当の方も、会社の保険で何とかなるはずと言ってくれましたが、会社の総務部の判断としては、”業務委託の職員は従業員ではないので会社の保険は適用できない”ということでした。その結果Aさんは全額自腹で弁済することになりました。その金額はその業務の報酬の数倍にもなりました。
もちろんAさんもフリーランスで働くということでしたら自分で保険に入っていたほうがよかったです。その点Aさんにも個人事業主の意識が無かったと言えます。
どちらかといえばAさん本人はアルバイトのつもりで働いていましたし、労働契約と業務委託契約の違いもよくわからないまま仕事をしていました。
こういったことがあるまで個人事業主のリスクを自覚していなかったことになりますし、同じような方は多いと思います。
もちろん違いが分かっていても断れない力関係があり、受け入れざる負えないという実情もあると思います。
その後、色々ありこの会社はこの種の業務をする人に関しては派遣会社を通して労働契約を結ぶことにしましたので、今はAさんも被雇用者として安心してお仕事しています。
こちらも大手会社ですのでコンプライアンス的にもマズいと気付いて改善したようです。
偽装請負請負とは
さて上記のAさんの例というのは実は偽装請負と言われるものに該当する可能性が高いです。Aさんは会社に指定された時間に出勤し、指定された業務を指定された場所で行っていましたので、実際は労働力を提供していただけなのです。
仕事の実態が誰かの指示を受けて時間管理もされていてということであれば、それは雇用関係にあたります。
雇用契約を結ばなければいけませんので業務委託はできません。ですが人を雇用するというのは結構経費が掛かりますし、節税というメリットも考えて業務委託契約にしようと思う会社も多いのです。このように実態は労働者であるにもかかわらず業務委託契約や業務請負契約をむすんで労働させることを偽装請負と言います。
労働基準監督署は基本労働者のための機関ですので業務委託契約を結んでるフリーランスは管轄外です。
労働契約がなければ何かトラブルがあっても取り合ってくれないこともありますが、偽装請負であれば改善命令を出してくれることもあります。契約がおかしいなと思ったら一度労基署に相談してみましょう。
またこういった件は労働者ユニオンも力になってくれますので困ったら相談してみましょう。
契約関係を正しく理解すればいい働き方
現在Uberなのど配達員などで個人事業主として働くのが流行っていると思います。働く側にとっても好きな時に好きなだけ働けるというメリットがありますので人気ですね。これも正しく理解していれば便利な働き方だと思います。
Uberのサービスも少し勘違いしている人も多いと思いますが、配達員が業務委託を受けるのは商品を提供するレストランでありUberではありません。Uberは配達の依頼主であるレストランと請負主の個人事業主である配達員のマッチングサービスを提供しているだけなのです。
ただUber配達人たちもユニオンを結成しUberや国に対して改善をもとめていますので、働き方は気に入っているが、納得いかないこともあるという状態だと思います。
昔からある赤帽配達なんかもドライバーさんは業務委託の個人事業主です。なので軽トラの配達員さんにとっては何も新しい働き方というわけではありませんし、荷物配達の空き時間にフードデリバリーをするという選択肢もこれから増えるのではないでしょうか。
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弁護士である徐東輝氏が解説して下さっています。
フードデリバリーのLegal Design~出前館/楽天デリバリー/dデリバリー/Wolt/menu/Chompy編~|徐東輝(とんふぃ)|note